稲葉ゆかり活動レポートからお越しの方ようこそ!活動レポートでは収録しきれなかった「大府婦人会」の皆さまのインタビュー全文です。

INTERVIEW

一人の力は小さくても

大府婦人会の4人に聞く、地域を支えるしなやかな活動

取材・文:稲葉/大嶋

お話を伺った大府婦人会の皆さん
お話を伺った大府婦人会の皆さん

「婦人会」と聞いて、皆さんはどのような団体を思い浮かべますか。

昔からある地域の集まり? 年配の女性たちの会? 名前は知っていても、実際にどのような活動をしているのかは、意外と知られていないのではないでしょうか。

大府市内で現在活動している婦人会は「大府婦人会」「共長婦人会」「神田婦人会」の3つになりました。昨年度まで活動されていた「吉田婦人会」の方の中には、他の婦人会に合流された方もみえます。

今回は大府市にある婦人会の1つ「大府婦人会」の4人の方々からお話を伺いました。

お話を伺った方

西原さん

西原さん

91歳・婦人会歴69年
数々の活動の礎を築いた大先輩

近藤さん

近藤さん

婦人会歴22年
前会長

野久さん

野久さん

婦人会歴6〜7年
今年度から会長

大嶋さん

大嶋さん

今年度入会

稲葉

聞き手:稲葉
発言は顔写真と名前の色で区別しています。

まずは、4人の皆さんをご紹介します

稲葉

稲葉

今日は大府婦人会についてお話を伺いたいと思います。まずは大先輩の西原さんから自己紹介をお願いします。

西原さん

西原さん

西原まさ子です。婦人会に入ってから、一度も辞めたことがありません。今91歳で、婦人会歴は69年ほどになります。

初めの頃は、コーラス、お茶、バレーボールなど、いろいろなクラブがありました。そうした活動に参加しながら、ずっと何かしら続けてきました。

稲葉

稲葉

69年! 本当に長い歴史を見てこられたのですね。

近藤さん

近藤さん

近藤由美子です。婦人会に入って22年になります。後半は、ほとんど役員をしていました。前年度まで数年間、会長を務めさせていただきました。

野久さん

野久さん

野久です。今年度から会長を務めています。婦人会に入って6、7年ほどです。

最初は近藤さんに声をかけていただき、一度はお断りしたんです。でも、「受けなければ世界は広がらない」と思い、入会しました。初めの2、3年は講座などに参加して、「婦人会って、楽しく遊ぶところなんだな」と思っていたんですよ。

ところが役をいただいて、活動の中身を知るうちに、「こんなに素晴らしいことをしている団体だったんだ」と、だんだん体に染み込んできました。

大嶋さん

大嶋さん

大嶋ちえです。稲葉さんに紹介してもらって今年入会しました。

最初は、年配の方のお手伝いが何かできるかな、という気持ちだったんです。でも実際に参加してみたら、思っていたのと全然違いました。皆さん、とても若々しくてイキイキとされていてびっくりしました。活動に参加してみると楽しかったですし、勉強にもなりました。

西原さん

西原さん

そうでしょう。みんな元気なんですよ(笑)。

牛乳パックから始まった、地域ぐるみの環境活動

稲葉

稲葉

西原さんは、婦人会でさまざまな活動を始められたそうですね。特に印象に残っているものは何ですか。

西原さん

西原さん

大きかったのは、平成2年に始めた牛乳パックの回収です。

当時は、牛乳パックが今のように当たり前に回収される時代ではありませんでした。「地球規模で考えて、行動を足元から起こしましょう」という思いで、みんなで取り組んだんです。

地域に回収用の籠を置かせてもらい、婦人会の会員が集めて回りました。平成3年には、市民の間に定着して、1トン近く集まったんですよ。

稲葉

稲葉

今ではスーパーなどに回収箱があるのが当たり前ですが、その仕組みがない時代から、地域を回って集めていたのですね。

西原さん

西原さん

そうです。再生紙の工場にもみんなで見学に行き、回収した牛乳パックが何に生まれ変わるのかを勉強しました。それから、再生されたトイレットペーパーやティッシュペーパーを、婦人会の皆さんにも使ってもらいました。

回収で得たお金は、婦人会のために使わず、災害義援金や緑化基金、市内の福祉施設などへの寄付に充てました。みんな、本当によく動いてくれました。団結の力でしたね。

稲葉

稲葉

ごみを資源に変えるだけでなく、それを地域や被災地への支援につなげた。今でいう循環型社会の取り組みを、30年以上前から実践されていたのですね。

野久さん

野久さん

私が入って驚いたのも、そこなんです。環境問題に対して、婦人会はずっと前から一歩、二歩先を進んでいました。

生ごみを土へ返す「アスパ」。行政も動かした女性たち

稲葉

稲葉

牛乳パックのほかに、「アスパ」の普及にも取り組まれたそうですね。

西原さん

西原さん

アスパは、米ぬかなどを使って生ごみを発酵させ、土に返すためのものです。「アンスメル・パワー」、臭いを抑える力という言葉から、アスパと名付けました。一般には「ぼかし」と呼ばれているものです。

初めは婦人会で作って、市民の皆さんに販売していました。作り方を学び、各地区で作れるようになるまで、毎月のように教えに行きました。

でも、だんだん利用する方が増えて、婦人会だけで続けるのが大変になったんです。そこで市に、「ごみ処理に大きなお金をかけているのだから、ごみを減らすこの活動を支えてほしい」とお願いしました。

稲葉

稲葉

お願いしただけではなく、必要性を伝え、行政の仕組みにまでつなげたのですね。

西原さん

西原さん

市長にも話をして、市に買い上げてもらい、市民へ配布してもらえるようになりました。私たちだけの活動で終わらず、市の取り組みになったことは大きかったと思います。

近藤さん

近藤さん

今もアスパについて知ってもらうため、げんきの郷などで紹介しています。段ボールコンポストと合わせて、生ごみを減らす活動は、現在にも受け継がれています。

地下道の掃除、福祉施設の草取り、公民館まつりのうどん

稲葉

稲葉

環境活動以外には、どのようなことをしてきたのでしょうか。

西原さん

西原さん

地下道の掃除を長く続けています。始めた頃の地下道はとても汚れていて、水を借りて、みんなで洗ったんです。その後、照明が増え、絵も飾られ、明るくきれいな地下道になりました。

ほかにも、福祉施設の草取りや窓拭き、公民館まつりのうどん作りなど、いろいろなことをしてきました。

近藤さん

近藤さん

現在も、ボランティア活動やサロンクラブの活動があります。公民館まつりなど、地域の皆さんが集まる場にも参加しています。

西原さん

西原さん

国体の時には、選手のためにコサージュを800個ほど作り、大きな釜で豚汁も作りました。県の婦人会の皆さんと一緒に踊りにも参加したんですよ。

稲葉

稲葉

裏方として支えるだけでなく、皆さん自身も行事を楽しんでいたのですね。

西原さん

西原さん

そうです。みんな喜んで参加しました。自然に国体も見られましたしね(笑)。

地域を楽しませ、自分たちも楽しむ

稲葉

稲葉

お話を聞いていると、本当に活動の幅が広いですね。

西原さん

西原さん

夏休みには子ども映画会も開きました。大府市の勤労文化会館ができた頃には、婦人会の記念行事として「フラメンコの夕べ」も開催しました。会場がいっぱいになるほどの大盛況でしたよ。

会員が多かった頃には、バス6台、300人ほどで旅行に出かけたこともあります。300人が一緒に食事できる場所を探すのは、本当に大変でしたけどね。

当時、みんなから「西原さん、これ以上何かすると大変だから、もうやめて」と冗談を言われたこともありました。でも、後になると「あの頃は楽しかったね」と言うんです。

活動したことは、やっぱり楽しいんですよ。嫌なことばかりをやっていたわけではありませんから。みんな、はつらつとしていました。

野久さん

野久さん

今も、皆さん本当によく笑います。私も婦人会に入ってから、よく笑うようになりました。

西原さん

西原さん

年を重ねると、何かやることがあるのは大切です。私が元気なのも、外へ出て活動しているからかもしれません。仲間の力ですね。

活動したことは、
やっぱり楽しいんですよ。

── 西原さん(婦人会歴69年)

前会長が大切にした「続けるための工夫」

稲葉

稲葉

近藤さんは会長として、どんなことを大切にしてこられましたか。

近藤さん

近藤さん

まずは、先輩方が続けてきた事業を継続することです。そのうえで、今の会員が活動しやすい方法を考えてきました。

今は、昔のように「会員でなければ参加できない」と固く考えず、講座や料理教室、寄せ植えなどに、「一度、試しに来てみませんか」と声をかけています。

一緒にやってみれば、雰囲気が分かります。「楽しかった」と思ってもらえれば、次も誘いやすくなりますし、その中から入会してくださる方もいます。

稲葉

稲葉

大嶋さんも、最初から入会を決めて参加したわけではありませんでしたね。

大嶋さん

大嶋さん

はい。まず参加させてもらって、楽しくて、勉強にもなったので入りました。

近藤さん

近藤さん

そういう柔らかい入り口が大切だと思います。「婦人会は怖そう」というイメージを持つ方もいらっしゃるので、実際に来て、決してそんな場所ではないと知っていただきたいですね。

野久さん

野久さん

私も、今は近藤さんの方法を引き継いでいます。一度来てくださった方が「楽しかった」と言ってくれると、次につながりますから。

いざという時に動く、赤十字奉仕団としての役割

稲葉

稲葉

婦人会の皆さんは、赤十字奉仕団としても活動されています。普段はどのようなことをしているのでしょうか。

近藤さん

近藤さん

主な活動の一つが、防災と炊き出しの訓練です。災害はいつ起こるか分かりません。いざという時に、私たちがお手伝いできるよう備えています。

市内には、高齢者の介助や避難所で健康に過ごす方法を伝える「健康生活支援講習」の指導員と、乳幼児の命を守る「幼児安全法」の指導員もいます。そうした資格を持つ方々とも連携して活動しています。

最近は、市内の自治区の防災訓練に参加する機会も増えました。婦人会や赤十字奉仕団の存在そのものが、まだ十分に知られていません。SNSやチラシも使い、活動を知っていただくことも大切だと思っています。

稲葉

稲葉

普段は見えにくくても、災害時には地域を支える大きな力になる。日頃から顔を合わせ、一緒に活動しているからこそ、必要な時に動けるのですね。

新会長が受け取ったバトン

稲葉

稲葉

野久さんは、今年度、会長を引き受けられました。今、どのようなお気持ちですか。

野久さん

野久さん

初めは、もう少し軽い気持ちだったんです。近藤さんがフォローしてくださっていましたし。でも、後から後から仕事が出てきて、「これはのんびりしていられない」と分かりました(笑)。

年度初めは、新しいことを覚えるのに必死で、頭から湯気が出そうでした。それでも先輩方に支えていただき、バス研修を無事に終えられた時は、とてもうれしかったです。何より、私自身が楽しかったです。

少しずつ先輩方の後を追い、できる限りのことをしていきたいと思っています。

西原さん

西原さん

大丈夫。みんなでやればいいんです。

野久さん

野久さん

会員が減り、高齢化も進んでいます。若い方は仕事があり、それぞれの生活や趣味もあります。昔と同じように続けることが難しい中で、どうしたら活動を残していけるのか、今は模索しています。

それでも、実際に入ってみると、本当に素晴らしい活動をしていることが分かります。特に、アスパや段ボールコンポストなどの環境活動は、これからも続けていきたいです。

私自身、環境についての講演を聞いてから、道に落ちているたばこの吸い殻を拾うようになりました。フィルターに含まれるプラスチックが側溝から川や海へ流れると知ったからです。

一人の力は小さくても、それが集まれば活動は広がります。自分にできることを、少しでもつなげていきたいと思っています。

「婦人会は怖そう」? 入ってみたら全然違った

稲葉

稲葉

婦人会に対して、「年配の女性ばかりで怖そう」「昔ながらの堅い集まりでは」と感じる人もいるようです。皆さんはいかがでしたか。

野久さん

野久さん

私にも少し先入観がありました。地域の力強い女性たちが集まって、厳しく活動しているのかな、と。でも入ってみたら、皆さんいい方ばかりでした。

大嶋さん

大嶋さん

私も、入る前に思っていたのとは全然違いました。皆さん若々しくて、活動も楽しくて、本当にびっくりしました。

近藤さん

近藤さん

活動は、意外とゆるやかなんです。体調が悪い時や都合がつかない時に、無理をして必ず参加しなければならない、というものではありません。自分にできる時に参加できる。その雰囲気は大切にしたいですね。

西原さん

西原さん

来なければならないような計画ばかりにはしません。楽しくなければ続きませんから。

稲葉

稲葉

一度体験してみると、印象が大きく変わりそうですね。

近藤さん

近藤さん

そうですね。講座でも公民館まつりでも、まず一度来てもらうことです。一緒に活動すれば、自然に気持ちも通じます。

これからは「居場所」と「社会貢献」の両方を

稲葉

稲葉

これからの婦人会には、どのような役割があると思いますか。

西原さん

西原さん

私は、「居場所づくり」が大切だと思っています。年を重ねても、人と会って話し、楽しく過ごせる。その中に、自分ができる活動や人の役に立つことがあれば、なおいいですよね。

家にいるだけでは得られないものがあります。外へ出て仲間と活動することは、元気でいることにもつながります。

近藤さん

近藤さん

居場所づくりも、楽しむことも大切です。同時に、社会や地域とつながり、貢献することも大切にしたいと思います。

これからも、アスパや段ボールコンポストなどの環境活動と、公民館まつり、防災訓練、自治区の活動など、地域に密着した取り組みを続けていきたいです。

野久さん

野久さん

先輩方は、私たちの生きる見本です。受け継いできたものを大切にしながら、今の時代に合う方法を考えていきたいですね。

大嶋さん

大嶋さん

私も、できることからお手伝いしていきたいです。

西原さん

西原さん

いろいろな活動が続いているのは、みんなが喜んでやってくれるからです。誰か一人ではできません。みんなの力、仲間の力です。

取材を終えて

婦人会は、単に昔から続いている女性の集まりではありませんでした。

牛乳パックを集め、資源として循環させ、その収益を被災地や福祉施設へ届ける。生ごみを土に返す方法を学び、地域へ広げ、行政の取り組みにまでつなげる。地下道を掃除し、地域行事を支え、災害に備えて炊き出しを訓練する。

一つ一つは地道な活動です。しかし、その積み重ねは確実に地域の暮らしを支え、大府のまちをよりよくしてきました。

そして何より印象的だったのは、皆さんが本当によく笑うことでした。

  • 楽しくなければ続かない
  • 人の役に立つことが、自分の元気にもなる
  • 一人の力は小さくても、集まれば活動は広がる

91歳の西原さんから、今年度入会した60歳の大嶋さんへ。形を変えながらも、その心は確かに受け継がれています。

「婦人会」という名前だけでは見えてこない、しなやかで力強い地域活動。
まずは一度、その輪の中をのぞいてみませんか。